Sifu(紙布) 秘めたる可能性 ver.3

SIFUあだちや

 

「土に還るバッグ」

 

今年は4年に1度の年。今日は4年に1度の日。

2月29日が何らかの記念日にしている人にとっては、待ち焦がれた日でしょう。4年に1度しか来ない特別な日は切なさも、感じてしまいます。

しかし、記念日とはワクワクするものです。だから毎日を素敵に過ごす為には、何か小さな出来事でも記念日にしてしまうのも手ですね。

私は昨日素敵な機械と出会いました。年代物の撚糸機(ねんしき)です。

撚糸八丁車(ねんしはっちょうくるま)

糸を撚りにかける機械で、全て木で作られています。

私が機織りが好きな理由の一つに、機織り道具は木を加工したものを使う為、木の優しさに触れ、心地良さを味あうことができるからです。

 

これは、主人の実家の栃木県の足利をこの週末に訪れた時に出会いました。義母の生家でもあり、その義母は糸撚りを商いとする家で生まれ育ちました。以前は伝統的に繊維産業が盛んな地でもありました。

(足利は日本で最も古い学校があり昨年正式に日本遺産にも認定された「足利学校」がある地でも有名なのです。)

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倉庫の上の棚で眠っていた八丁車

糸偏に関係するところに身を置く私としては義母の昔話はとても興味深く、新鮮にも思えます。和紙糸の草木染めについて盛り上がった会話の中で、倉庫に昔の撚糸機があると言うので親戚に手伝ってもらい外に出し、ホコリを落として組み立ててみました。

撚糸機はまだまだ現役で活躍できそうです。大きな車部分は木目がとても綺麗にでていてとても美しさを感じさせます。

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日差しを浴びて輝く木目

義母が家業で糸を撚っていたということと、私が糸から拘った「Sifuあだちや」の和紙糸を手がけた事に、不思議な縁を感じました。

そう考えると、私の周りには糸偏に関係する職業の人が多いように思われます。親戚には染物に携わる人、紳士服のオーダーメイドを職とする人、大島紬を織る機織り職人。これも何か繋がりがあってのことでしょうか・・

この日持っていた草木染の和紙糸を板杼(いたひ)に巻きつける作業を、義妹にやってもらいました。本来は座繰り(ざぐり)という道具を使って木枠に巻いてから板杼に巻き付けないと絡まってしまいますが、流石、糸偏に強い家系なのかあっという間に終わらせてくれました。IMG_0084

というわけで、私は撚糸八丁車に出会った日として、記念日にすることにしました。

2月28日の出来事なので、幸いにも、4年に1度ではなく毎年くる記念日となります。

そこで「Sifuあだちや」の一つ目の記念日も作ることにしました。私が2014年10月11日に初めて水戸市で和紙糸を直接見て手に触れた日を記念日としたいと思います。

二つ目以降も、記念日にしたい事がたくさんあるのでこちらは、考える必要がありそうです。

今、「Sifuあだちや」の紙布やテープは、新たな検査を受けております。あらゆるシーンで「Sifuあだちや」が活躍できることを想像しながら、そして新たな記念日を作る為に。

 

「温故知新」

おんこちしん

古きを温ねて新しきを知る

先人たちの知恵が詰まった書物の力は計りしれません。昔のことだからと言って馬鹿にするのではなく、その中から現在や将来に生かせる部分をしっかり読み取ることで、新たに成長するもととなるのです。

今日はこの言葉が私の心に響いた論語です。

takako.n

Sifu(紙布) 秘めたる可能性 ver.2

SIFUあだちや

 

「土に還るバッグ」

MENYSIDE編


展覧会から半月経った頃から、様々な形で反響が現れてきました。

私はその反響によってSifuあだちやが、勝手に一人歩きするのではと、一抹の不安を感じるようにもなってきました。

そんな胸中でいた私は、「土に還るバッグ」についてもう一度話を聞きたいと、弊社へ訪ねていらした方が私に語ったことを思い出しました。

Sifuとは私が治療の為の療養に入る時期に出会い、構想から1年半でここまで作り上げた事。彼にしてみれば短期間でなし遂げたと思っているようでとても不思議がっておりました。

そんなに不思議なこと?

Sifuあだしやの母体であるMANYSIDE(メニサイド)は、当初はサンプル専門の会社として起業しました。当時は展示会用のサンプルだけで年間で1500~2000型は受注しておりました。

ゼロからの作業となり、型紙をおこす前に色決め、使用内容、部位に合わせて生地の提案や皮革の加工、持ち込みの場合も、生地素材に合わせての形状や資材の組み合わせ、また、生産になった際の縫製工程へのアドバイス。

そうして多くのお客様の信頼を頂きMANYSIDEは、サンプルから、生産加工所、OEMメーカーへと様々なご要望に応えながら進化をし続けてきたのです。

サンプル時代からのあらゆる材料・資材屋さんとのやりとりにより、探求心を高め素材の精通をはかってきました。

長くもの作りに携わる専務は、鞄のパタンナー(型紙おこし)だけでなく、あらゆる素材・形状に対して精通し的確な判断力をくだすことに優れていました。工場長も加工所を経営する両親のもとで長く製品に携わってきました。なので生産工程においては専務の信望も厚く、彼のサンプル段階での意見も重要なのです。

そしてMENYSIDEで働く女性は、内職さんも含め7名です。

そのひとりに幼いお子を育てながら勤務し、保育園から熱が出たとなればお迎えに行く事もまだまだある彼女ですが、専門職として勉強して身につけた鞄製作の仕事を育児と両立させる為日々奮闘しています。

子育てがもう少しで節目を迎える、MANYSIDEの手裁断で職人歴の長い彼女は、高い責任感を持ち、製品に対してとても厳しい目で見落としのない検品・検査をする人物です。私の娘と同学年のお子を育てながら頑張ってきた彼女は頼りになる存在です。

そんな彼らを含めたMANYSIDEのスタッフと社外の多くの協力者がいてくれたからここまで来れたのだと私は感じます。弊社を訪ねていらした方が短期間と語った事を、改めて考えてみました。

実は短期間ではなかったのかもしれない。確かに 構想~「東京都ものづくり・商業・サービス革新補助金」申請~採択~事業開始~現在と1年半あまりの期間ではあるのですが、これまでのMENYSIDEの土台がなければ展示会に出展できた作品が出来るものではないと考えれば考えるほど思えてきたのです。

サンプル屋は丁寧な仕事をする。

それはあたり前の事。完成度が高いほど出展されたバイヤーさんの評価も左右はされる要因となるのです。サンプル屋出身の加工所だからこそ、生産時の作り手のやりやすさを考えて、デザインを維持したままの型紙と試作品を作る。そして、サンプル屋・加工所出身のメーカーだからこそ、素材からこだわり大量生産しても、ひとりのエンドユーザーさんの1個の為の作品を完成させるのです。

MENYSIDEは、共に働く彼らのタフさと、粘り強さと、職人としてのプライドと、順応性が進化へ繋がったとあらためて思うのです。そう考えると、1年半の期間ではなくもっと以前から始まっていたのかもしれません。

だから私がSifuを見つけたのではなく、Sifuが私達を見つけてくれたのかもしれません。そう考えるとこの時一抹の不安がいつの間にか消えてました。

「人能く道を弘む」

ひとよくみちをひろむ

目の前に広がる道はもとは、先人たちが森や荒地を切り開いて少しづつ作り広げていったものです。その前には何もなかったのです。私たちは初めから道があることに慣れてしまっているのです。仕事でも学問でも人生でも同じです。そこに道があるから進むのではなく自分で切り開いて進んで行くのです。

今日はこの言葉が私の心に響いた論語です。

takako.n

 

 

 

Sifu(紙布) 秘めたる可能性 ver.1

SIFUあだちや

 

「土に還るバッグ」

 

 

展示会では無事「土に還るバッグ」の初お披露目ができました。    和紙=紙ですから洗ってもなぜ溶けないの?とか、破けないの?染めることはできるの?とか様々な質問と、驚きと称賛とが飛び交うブースとなりました。

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Sifuあだちや 11号紙布

勿論、紙布(しふ)は水に溶けることもなく、綿と同様に染めることも、綿と同様の強度はあります。

紙布は綿より吸水性が高く、また速乾性も高い。これは何故か?。じつは、綿は不純物が混ざっているので吸水性が紙布より悪いと表現したほうが良いのかもしれないですね。

しかし、原料が和紙である紙布は、和紙を作る工程の中ですでに不純物を取り除いているので、不純物のない布ができあがるのです。ですから不純物のない紙布は吸水性が良く染色もできるということです。

右上の写真はハンカチサイズを2枚重ね縫いした紙布です。縦糸をわざと2cm程抜いて洗濯機で洗ったものです。顔を出した横糸の紙糸は溶ける事もなく、また速乾性に優れた紙布はこの時一緒に洗濯した綿のハンカチよりも早く乾く結果となりました。

同時に紙布の堅牢度の品質検査をおこなった結果、基準値には問題はみられませんでした。今後も様々なテストをおこなっていきますが、不純物のない生地として紙布は、様々な分野で活躍できるのではないかと秘かに考えているのです。・・・・

かくして、大成功に終わった足立区展示商談会の後は雑務と通常業務の遅れを取り戻す作業に、多事多端な状況が続いてましたが、展示会の打ち上げは2月に入ってようやくできました。

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中部ふるさと名物創出支援プロジェクトのブースにて

5日の打ち上げ当日、現地に行く前にお世話になった丸安ニット㈱の伊藤社長に展示会のご報告とご挨拶に、東京ビッグサイトに向かいました。GiftShowに出展中で、忙しい最中でしたが伊藤社長はとても気さくで、丁寧に対応して下さいました。ありがとうございました!!

伊藤社長がしめているネクタイも和紙糸が使われています。お洒落なネクタイでした。

 

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GiftShowをあとにして、皆が先に集まっている浅草へと向かいます。

 

打ち上げ場所の「いさりび」は、オープン当初からお気に入りの隠れやてきの寿司・海鮮料理店で、おもてなしが最高なお店です。20160205_1446

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今日の打ち上げには内職さんたちはいませんが、スッタフは、ほとんど女性ばかりです。

子育てをしながら頑張っている人も多いのですが、最近若手も、もの作りの世界に入ってきました. 毎日、職人女子を目指して頑張っています。

日本の製造業の衰退、高齢化、後継者問題、事業所の環境への貢献と様々な課題はあります。社会を元気にする、幸せにする、次世代へのバトンなど、女性ならではの発想をとりいれながら、メニサイドならではの特徴を活かし「もの作り」に取り組んでいきます。

私は、大切な事、必要とする事に目を向け、耳をかたむけ関心を持つという努力をしたいと思っています。

「君子は上達す」

くんしはじょうたつす

自身を形作るものは毎日の習慣です。毎日食べる食事によって体が形成されると同じように。また、好きな事は毎日続けられるから習慣になります。習慣になればそれが上達していきます。大切なのは何に関心を持ち、何を好きになるか、なのかもしれません。となればできれば、人の為になることに関心をまずは持ちたいです。

今日はこの言葉が私の心に響いた論語です。

takako.n