「西ノ内紙布織展」の初日に水戸市の会場へと私は車を走らせました。
初日であれば桜井先生はいらしているはずと考え、またこの日は投薬による副作用も軽いので行けると思ったのです。
展示会会場へは14時頃に着きました。そして、私の予想通り桜井先生の姿を見つけることができました。
着物をビシッと着こなし、すっと背筋を伸ばした出で立ちには小柄ながら、存在感のある空気が全身から発せられていました。
私は、和紙の糸から作られた作品をひとつ、ひとつ見て周り、最後に和紙に撚りをかけた糸の束を手にとり感触を味わいました。
それは、とても軽くまた麻のような感触でもあります。これはあくまでも素人の感想です。
それから、私は桜井先生の傍らにいき挨拶をし、展示会へ来たいきさつを話したのです。先生は深見のある眼差しで静かに私の言葉に耳を傾けてくれました。
会話がすすむうちに、先生の紙糸作りをどうしても見たくなり、不躾ではあったのですが先生の連絡先を尋ね作業を見させていただきたいと、お願いしてしまいました。
のちに、その日のことの話になると初めて会った素性もわからない人に連絡先などを教えたのは後にも先にも貴方だけよ。と先生に言われました。
よほど、切羽詰ったように私が見えたのかもしれません。(笑)
こうして私は、紙布作家の桜井貞子先生とsifuに出会ったのでした。